奈良時代はどんな時代だった?特徴をわかりやすく説明

現在の奈良県には、日本が古代国家から律令国家へと変わった奈良時代がどんな時代であったかを示す手掛かりが数多く残されています。

日本に伝わった漢字を利用して日本語の発音をあてて表記した万葉仮名によって、それまでは一部の識字層の文字だけの資料だけでなく、一般庶民の暮らしも知る資料も残されています。

奈良の平城京に都が置かれた710年から平安京に遷都される794年までの奈良時代が、どんな時代で、どんな特徴をもつのか、わかりやすく説明します。

奈良時代に起きた主な出来事から分かる特徴

奈良時代が、どんな時代だったかをわかりやすくするために、特徴的な出来事を列挙してみます。

奈良時代の始まりとされる平城京へ遷都される前に、大宝律令が制定され、日本初の通貨となる和同開珎が発行され、それまでの古代国家体制から律令制が確立されています。

大宝律令により、天皇を中心とした政治を行うために、都には「二官八省」と呼ばれる組織が作られ、地方には国司と郡司が置かれます。

飛鳥時代に作られ始めた一般庶民の戸籍と律令制により、政府は戸籍に記載された6歳以上の民に、天皇が持つ土地を口分田として与え、収穫物の一部を税として徴収するシステムが構築され、時間の経過とともに不足した開墾地の解決法として、三世一身の法や墾田永年私財法が制定されます。

その一方、聖武天皇の時代には、自然災害や疫病の蔓延、家臣である藤原広嗣の乱など、さまざまな問題が頻発したため、鎮護国家思想に基づいたと思われる国分寺や国分尼寺が各地に作られ、東大寺と大仏が建立されています。

奈良時代にみられる特徴は?

飛鳥時代から続いた遣隋使や遣唐使の派遣によって、当時日本よりもあらゆる面で進んだ文化や技術と共に政治統治体制を持つ中国の「唐」から持ち込まれています。

そのため、奈良時代は、政治体制をはじめ文化的なものに至るまで、唐の影響を色濃く受けた特徴を持っています。

特に、聖武天皇の時代に花開いた天平文化は、わかりやすく言えば、貴族を中心とした国際的な文化だったといえ、万葉集などの文学において、日本独自の進化をはじめた文字の文化のきっかけがあります。

奈良に残されている東大寺や大仏像をはじめとした多くの寺院や仏閣、仏教美術は、奈良時代の朝廷が、仏教を信仰し保護したことがわかりやく示されています。

また、正倉院に納められていた聖武天皇の遺品や宝物からは、中国やペルシャからの輸入品が多く含まれていて、当時の日本と海外とのかかわりを解く資料となっています。

奈良時代に書かれた日本最古の歴史書である「古事記」や「日本書紀」、さらに現代の新元号にも関わりがあった「万葉集」といった書籍が作られたことも特徴です。

奈良時代の政治や文化にみられる特徴

奈良時代がどんな時代だったかは、都が置かれた奈良に残された遺跡や遺物などから、さまざまに検証されています。

それまでの古代国家体制から律令制を確立した奈良時代の朝廷は、唐を模範とした二官八省と呼ばれる行政組織と土地制度を運用し、徴税システムを確立した特徴的な時代です。

わかりやすく言えば、政治や文化の進んだ唐を真似て、天皇を中心とした国家体制を築き、貴族を中心とした文化が生み出されています。

それに加えて、聖武天皇が鎮護国家と災異思想に基づいて、仏教の保護と統制をはかったために残された東大寺をはじめとした多くの寺院や仏教美術が残されています。