奈良時代と平安時代の仏教の違いとそれぞれの特徴

仏教が日本に初めて大陸から伝わったのは、飛鳥時代といわれ、現在まで引き継がれている日本の伝統仏教の宗派は「13の宗派」といわれています。

現在の日本にある13の伝統仏教は、奈良仏教系、密教系、法華系、浄土系、禅系、修験道系の6つに分類されます。

日本に仏教が伝わった初期に反映した奈良時代の法相宗、華厳宗、律宗、三論宗、成美宗、倶舎宗の6つが南都六宗と呼ばれる奈良仏教系です。

平安時代に入ると、奈良時代の仏教との違いを明確にした真言宗と天台宗の平安二宗と呼ばれる二つの密教がはじまります。

奈良時代の仏教と平安時代の仏教

現在の日本に根付いた仏教は、飛鳥時代に初めて伝えられ、奈良時代になるといくつかの宗派に分かれて広まっています。

奈良時代の法相宗、倶舎宗、三論宗、成美宗、華厳宗、律宗の南都六宗と呼ばれる6つの宗派は、仏教の派閥というより「学派」に近い性格のもので、仏教は、選ばれた者たちである僧侶が如何に悟りを開くかを研究するものと考えられていました。

そのため、奈良時代の仏教は、釈迦の教えに従った厳しいルールや修行がありながら、仏教の教えは一度にまとまって伝えられておらず、さまざまな部分が経典となって伝えられていて、一般大衆には、仏教のカケラがばらまかれた状態で、奈良の大仏開眼には渡来僧が日本にやってきています。

奈良時代の仏教は栄華を極め、各寺院が相当な権力を有するようになり、政治に関与することも目立つようになり、影響を弱めるために、最澄と空海が中国に派遣され、奈良仏教とは違いがある新しい仏教として、平安時代の平安二宗と呼ばれる天台宗と真言宗を持ち帰っています。

奈良仏教と平安仏教の特徴と違い

奈良時代の仏教は、経典の中に釈迦の教えがはっきりと記された教えとされる「顕教」であるのに対して、平安時代の仏教は、経典に教えがはっきりとは書かれていないけれど、仏教を深く学ぶとみえるとされる「密教」というそれぞれの特徴を持ち、それが違いにもなっています。

釈迦の教えを説いた仏教の真意は同一であるにも関わらず、人智を超えた教えの部分も多く、すべての教えを経典の文字や言葉に表すことは難しく、真意は経典の文章の行間にあるとも解釈できます。

奈良時代の仏教と平安時代の仏教の「顕教」と「密教」の違いは、経典の捉え方の違いとも言え、両方の仏教は表裏一体の関係にあるとも言えます。

奈良時代と平安時代の仏教は表裏一体の関係?

仏の教えを説いた仏教が飛鳥時代に初めて日本に伝えられてから、奈良時代になると南都六宗と呼ばれる6つの仏教宗派が勢力を強め、政治への影響力も強めています。

平安時代には、南都六宗の勢力を削ぐ目的で中国の唐に派遣された最澄と空海が、天台宗と真言宗を日本に持ち込み勢力を強めます。

奈良時代の仏教と平安時代の仏教は、それぞれ「顕教」と「密教」の違いと解釈され、両者は表裏一体の関係性を持っています。