奈良時代の法令と政策は?

701年に制定された大宝律令によって、平城京へと遷都された奈良時代には、天皇を最高権力者とした律令国家の体制が確立されます。

律令国家は、刑罰を定めた「律」と政治の運営に関する決まりの「令」をもとに、天皇と貴族が中心となって国家運営が行われ、天皇と中央に権力が集中されています。

地方を国と郡に分け、任命を受けた中央の貴族が国ごとに国司として派遣され、国司が地方の豪族を軍司に任命しています。

現在の法治国家体制に類似した奈良時代の律令制で、施行された法令を紹介します。

奈良時代の代表的な法令には?

大宝律令によって、奈良時代には、一般の人民と土地が天皇のものとした公地公民の制度がとられ、戸籍が作られています。

奈良時代の戸籍は今の目的とは違い、人民から税を徴収するためのもので、政府から人民に土地を与えて耕作させ、さまざまな税を負担させています。

そこで登場する「班田収授法」と「墾田永年私財法」が、奈良時代の特徴的な法令です。

公地公民の原則に基づいて制定された墾田永年私財法ですが、有力な貴族や寺社の私有地が「荘園」として各地に広がっていきます。

「班田収授法」と「墾田永年私財法」の法令の中身は?

奈良時代に制定された「班田収授法」という法令では、戸籍に登録された6歳以上のすべての人民に「口分田」と呼ばれる耕作地が与えられ、亡くなると政府へ返還させる公地公民の土地制度です。

「口分田」を与えられた人民には、租庸調と呼ばれる税が徴収され、防人と呼ばれる軍役や、国司のもとで働く雑徭と呼ばれる労役も課されています。

租庸調と呼ばれる税には、それぞれ収穫物や特産物、労役の代わりに納める税が定められており、次のような内容となっています。

「租」は口分田から収穫された稲の3%を徴収される税、「庸」は絹や糸、その地方の特産物を徴収される税、「調」は労役の代わりに麻布を徴収される税といった区分がなされています。

奈良時代の土地は、すべて天皇のものとした公地公民の制度に基づいた班田収授法で管理運営が行われましたが、その後、新しく開墾した土地については、永久に自分の土地として良いとした「墾田永年私財法」という法令が出され、私有地となった「荘園」が各地に広がりをみせます。

奈良時代の法令の根拠は、大宝律令にあった?

奈良時代に制定された「班田収授法」と「墾田永年私財法」の二つの法令は、いずれも公地公民の原則に基づいて施行されていますが、701年に制定された大宝律令が大前提となっています。

一般の人民すべてに戸籍が作られ、政府が税を徴収することを可能にし、納税する内容の違う租庸調という税の徴収形態が、奈良時代に作られた政治の特徴となっています。

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