奈良時代の聖武天皇の時代に花を咲かせた天平文化は、唐の文化と仏教の強い影響を受けているため、奈良に残された寺院や仏教美術にもその特徴が現れています。
薬師寺や興福寺、東大寺の巨大な盧舎那仏、阿修羅像のような仏像彫刻など、仏教美術には有名なものも多く、正倉院の宝物からも唐の影響がうかがえます。
風俗が描かれた絵画には、奈良時代の特徴がうかがえる作品が残されていて、日本古来の儀式音楽や舞踊と唐や朝鮮半島から伝わった音楽や舞と相まって日本独自の雅楽として、現代まで伝承されています。
奈良時代の特徴的な絵画や音楽について紹介します。
奈良時代の特徴的な絵画
飛鳥時代に初めて日本に伝わった仏教によって、日本の絵画は仏教絵画という形で本格的な発展を始め、中国の絵画の影響を受けます。
初期の仏教絵画を代表する作品には、飛鳥時代に玉虫厨子の須弥座に描かれた捨身飼虎図や、藤原京の時代の高松塚古墳壁画には唐の影響を受けた風俗が描かれています。
奈良時代にはいり、天平時代の代表的な絵画には、奈良正倉院宝物の「鳥毛立女屏風」、奈良薬師寺の「吉祥天像」、「絵因果経」、当麻寺の「当麻曼荼羅」、「釈迦霊鷲山説法図」、「法華堂根本曼荼羅図」などがあります。
奈良時代に描かれた絵画には、仏教絵画と唐の影響が大きい作品が多数残されています。
奈良時代の音楽の特徴
奈良時代の音楽は、それまでの日本古来の儀式音楽や舞踊が、中国や朝鮮半島から伝わった音楽や舞と合わさり、日本独自の雅楽と呼ばれる音楽が生まれています。
奈良時代と平安時代に整えられた日本独自の音楽、雅楽は、現代の宮内庁式部職楽部や民間の雅楽演奏団体による演奏が行われる雅楽として伝承されています。
雅楽には、日本に古くから伝わる国風歌舞、中国やインドなどから伝わった唐楽、朝鮮や中国北東から伝わった高麗楽といった音楽があります。
雅楽に使われる楽器には、和音を奏する笙、漆を塗った竹の縦笛の篳篥、龍笛、高麗笛、神楽笛、琵琶、筝、和琴、鞨鼓、三の鼓、太鼓、鉦鼓があります。
奈良時代の絵画と音楽にも影響があった唐と仏教
古代国家から律令国家となるために、飛鳥時代から奈良時代の日本は、当時の先進大国であった中国の隋、そして唐のさまざまな文化や技術を取り入れようとしています。
そのため、奈良時代に描かれた絵画には、唐の仏教の多大な影響を受けた作品が多く残され、音楽には、それまでの古来の儀式音楽や舞踊に、唐や朝鮮半島の音楽や舞の影響を受けた雅楽が生まれ、現代まで伝承されています。