奈良時代を知ることができる文化財

奈良の平城京に都が置かれた約74年間の奈良時代は、中国の唐に遣唐使を派遣し、政治や経済、文化の多くをお手本とした律令国家を形成し、天平文化を生み出しています。

中国の唐の仏教の影響を多大に受けた奈良時代には、多くの建造物や仏教美術品が作られ、現在では多くの文化財指定を受けています。

1998年12月には京都で開かれた第22回世界遺産委員会で、「古都奈良の文化財」が世界遺産リストへの登録が決定しています。

世界遺産に登録された古都奈良の文化財の8つの資産について紹介します。

世界遺産に登録された「古都奈良の文化財」とは?

世界遺産に登録された奈良時代の文化財は、奈良県奈良市に点在する「東大寺」「春日大社」「春日山原始林」「興福寺」「元興寺」「薬師寺」「唐招提寺」「平城宮跡」の8つです。

「東大寺」「興福寺」「春日大社」「元興寺」「薬師寺」「唐招提寺」の六つは、国宝建造物があり、敷地が史跡に指定されています。

また、「平城京跡」「春日山原始林」の二つは、特別史跡、特別天然記念物に指定されています。

これらの文化財は、奈良時代の日本と唐、朝鮮半島が遣唐使の派遣や渡来人の往来などを通じて、密接な交流が行われていたことがわかる仏教建造群であること、日本の宗教的な空間の特徴が表現されていて、さらに、現代まで宗教文化が継承されていることが評価され、世界遺産への登録が決定されています。

「古都奈良の文化財」のそれぞれには?

「東大寺」は、鎮護国家思想に基づいて聖武天皇が発願して建立された建物群の文化財で、「興福寺」は、平城京の遷都により前身の寺院が現在の場所に移された藤原氏の氏寺で、主要な堂塔の建立の発願は天皇や皇后によるものです。

「春日大社」は、藤原氏の氏神を祀るために、神が降臨する山として神聖視されていた春日山・御蓋山の西麓に作られています。

「元興寺」は、蘇我馬子が6世紀に建立した飛鳥寺を平城宮に移設された寺院で、「薬師寺」は、天武天皇が発願して建立された官寺で、藤原京から平城京に移設されています。

「唐招提寺」は、聖武天皇が唐から呼び寄せた鑑真によって創建された寺で、「平城宮跡」は、平城京の中央北側に位置する宮殿跡で、太極殿、朝堂院、内裏、行政機関のそれぞれの役所が配置され、奈良時代の都の状況が最もわかる文化財です。

「春日山原始林」は、大社の神山として守られ、明治に入ると国有地となり、奈良公園に編入されたのちに天然記念物、特別天然記念物に指定されています。

古都奈良の文化財のそれぞれには、奈良時代がもつ特有の時代背景が感じられ、人々の営みを感じられるものが選定されています。

それぞれの文化財において、自然災害や戦さなどの被害の修復や復元作業も行われて、創建当時の状況が現代まで維持され、引き継がれています。

日本と唐の密接な交流が感じられる文化財が世界遺産に?

奈良時代に作られた多くの建造物や美術品、その他の工芸品には、日本と唐の密接な交流があったことがわかり、歴代の天皇が進めた鎮護国家思想を具現化した寺院や寺社など、現在にもつながる日本人の信仰と密接な関係があります。

世界遺産に登録された奈良の文化財には、奈良時代の鎮護国家思想を具現化した寺院や寺社、都が置かれた宮跡などの特徴的な遺産が、現代の人々の思いの強さで決定されています。

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