奈良時代に造られた建物の特徴は?現存する建物は?

奈良時代の聖武天皇は、仏教の信仰を利用して国を護ろうとする鎮護国家を目指して、国分寺と国分尼寺を建てるように命じており、数多くの寺院が建てられています。

そのため、現在の奈良県には奈良時代に建てられた唐招提寺、東大寺法華堂、法隆寺東室など多くの建物が現存し、国宝の指定を受けた建物も数多くあります。

現在の建物では、建築される建物の内部の居住空間が快適である設計が施されていますが、現存する奈良時代の寺院の多くは、居住空間よりも建築されている「柱」に執着したような特徴がみられます。

奈良時代に建てられ、現存する多くの寺院からわかる建物の特徴や、当時の寺院や住宅などの建物に込められた思いなどを紹介します。

現存する奈良時代の寺院建築にみられる特徴

現存する奈良時代の寺院建築には、飛鳥時代の聖徳太子と推古天皇によって建立された法隆寺につくられた現存する最古の金堂や、鑑真が創建した唐招提寺などの建物があります。

これらの寺院建築には、建物とは別に独立した柱が立てられ、それらを信仰や呪術の対象としたと考えられます。

東大寺や唐招提寺で見られる中央が膨らんだ形状をした特徴的な柱は、ギリシャやローマ、ルネッサンスの建築にも使われたエンタシスと呼ばれる建築様式で、唐の影響を受けた証拠といえます。

また、奈良時代の寺院には、仏の占有空間として捉えた特徴があり、一棟一室の建物で他の人が入ってくることを想定しておらず、建物が全体的に立体的な厚みをもっています。

さらに、唐から伝わった仏教に関わる建物が、計画的に生み出された都の中に組み込まれたため、組織的な構成が生み出され、「彫塑的」な特徴を示しています。

奈良時代の住宅にもみられる建物の特徴

奈良時代の天皇の寝殿や一般の住宅にも、前述した寺院建築にみられる一棟一室として空間を捉える建物が多く、主人の占有空間となる特徴が同じです。

奈良時代の住宅で現存する建物は、法隆寺の東院伝法堂があり、仏堂にするために一部改造されていますが、板敷きの部分を除けば、唐の影響を受けた建物の構造が残されています。

奈良時代に作られた建物には、飛鳥時代と同様、唐の影響を大きく受けた建造物が多く、それらの建物の特徴には、仏教的な思想も影響した空間の捉え方が感じられ、寺院でも住宅でも共通しています。

朝鮮半島から伝わった版築という基礎構造の上に、柱の底と礎石面を一致させる「石口拾い」という技術で柱が立てられ、柱と柱を頭貫や長押という方法でつなぎ、二重紅梁蟇股(にじゅうこうりょうかえるまた)と呼ばれる方法が多く使われて屋根が懸けられ、庇が作られ、屋根が葺かれ、軒を出すという古代建築の基本に則った工法を基本に建てられいます。

奈良時代に造られた寺院の建物が持つ特徴

奈良時代に造られた建物の特徴は、数多く現存する寺院の建物群をみれば、それぞれの建物が、一棟一室の居住空間を意識した建て方がなされ、建物全体として立体的な厚みが持たされ、外部に孤立したような特徴があります。

現存する寺院などに、エンタシスという中央が膨らんだ形状の柱が多用されていることも特徴的で、唐の文化的な影響が現れています。

その一方で、計画的に造られた都の都市の中に、整然とした秩序が保たれるような建物群を構成するための建物として「彫塑的」な特徴を有しています。

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