奈良時代の平均身長は?平均寿命は?

人々の生活環境や食習慣が時代と共に変化し、2017年の日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳となり、世界的にみても長寿国家となっています。

また、スポーツの世界大会などでみる日本人の体格が戦後大きく改善し、平均身長もかなり高くなっています。

第二次世界大戦以降の平均身長や平均寿命のデータは、厚生労働省などによってその推移が記録されていて、右肩上がりに伸びています。

旧石器時代から江戸時代の日本人の平均身長や平均寿命は、骨考古学や形質人類学によるデータから専門家により推定されています。

奈良時代の平均寿命は?

織田信長が好んで演じていた幸若舞では、「人間五十年 下天の内をくらぶれば、夢幻のごとくなり。」と謳われ、人の平均寿命が50歳程度とされていますが、それ以前の時代にはもっと短い平均寿命が推測でき、日本人の平均寿命が急激に伸びたのは、第二次世界大戦後となります。

狩猟生活を中心としていた旧石器時代には、子供の死亡率が高く平均寿命は15歳といわれ、弥生時代になると稲作文化とともに土器やさまざまな道具が使われるようになり、平均寿命は20代まで伸びたとされています。

飛鳥時代から奈良時代になると、律令制による法令の制定や戸籍によって身分制度が生まれ、貧富の差が開くものの、平均寿命は安定してきて30歳前後まで伸びています。

その後、鎌倉時代には、激しい天候不順で農作物が取れず、争いごとにより平均寿命は24歳まで落ち込み、室町時代もその状況はかわらず15歳まで落ち込んでいます。

奈良時代の平均寿命が伸びた理由は?

奈良時代は中国の唐を見習って、古代国家体制から律令国家体制へと変化した時代で、皇族や貴族、良民や賎民といった身分制度が確立され、政府が口分田を分け与えながら徴税が可能な仕組みが確立されています。

貴族が贅沢な暮らしを送る一方、貧しい食生活を強いられる賎民を生み出した身分制度によって、貧富の差が開いたものの、平均寿命を伸ばしたと考えられます。

弥生時代からの稲作文化で食生活が安定していたため、平均身長も奈良時代まで伸びる傾向にあったと考えられ、男性が163センチ、女性が152センチと推定されています。

平均身長と平均寿命を延ばした奈良時代

旧石器時代から縄文時代、弥生時代と時代の移り変わりと共に、狩猟生活から稲作生活へと生活習慣が変化し、古代国家体制から律令制の導入による国家体制の確立がなされた奈良時代には、平均寿命が30歳前後まで伸び、平均身長も男性が163センチ、女性が152センチ程度と推定されています。

平均身長と平均寿命には、安定した社会と栄養状態が大きく関係しており、自然環境や戦乱などがあった時代の落ち込みが、統計数字からも読み取れます。