奈良時代が起源とされる風呂敷の歴史

日本の風呂敷は、千年以上の歴史を誇り、ペルシャや中国からシルクロードを通って運ばれた宝石や彫刻を包む保護布として利用されたのが起源とされ、奈良時代の重要物品が納められた正倉院宝庫でみつかっています。

現在では、多くの裁判資料を持ち運ぶ検察官に官給品として風呂敷が支給されるほど実用性が高い一方、一般的には、風呂敷のデザインやかさばらない一枚布の特性を生かした贈答品としての需要があります。

一枚の四角い布の特性を生かして、モノを包む布として奈良時代から活用されてきた風呂敷の歴史について紹介します。

正倉院の宝物にみられる風呂敷の起源

一枚の四角い布で大切なものを包み保護するという行為は、太古の昔から行われていたと想像でき、正倉院の宝物を包んだ布の存在からも、奈良時代には風呂敷が存在していたことが推測されます。

奈良時代ごろには、正倉院の宝物にみられるように風呂敷は主に収納用として利用され、当時は平包み(ひらつつみ)、あるいは小路毛都々美(ころもつつみ)と呼ばれています。

風呂敷の語源は、風呂で敷いていた布に由来し、室町時代の大名たちが湯殿に入る際に、脱いだ着物を包み、湯上りに他の大名たちの衣服と取り違えないように家紋をつけた帛紗(ふくさ)が、風呂敷と呼ばれる始まりと言われています。

江戸時代に入り銭湯が増えると、一般庶民も自分の衣服を風呂敷に包んで銭湯へ出掛けるようになり、庶民の必需品となり、「風呂敷」の名称が定着しています。

明治時代以降、減少した風呂敷がエコで復活?

明治時代に入ると、風呂敷は一般庶民に広く使われましたが、次第に西洋文化の流入でカバンやランドセルなど、多種多様な袋物の登場で減少傾向を辿ります。

昭和40年代には、ナイロンの風呂敷が結婚式の引き出物などを包む風呂敷として大量生産されるなど、奈良時代から続いた一枚の布とは違う素材での風呂敷の活用が模索されますが、徐々にポリ袋や紙袋などが代用されるようになります。

特に、高度経済成長後には急速に進んだライフスタイルの変化によって、風呂敷が使用される場面は激減しますが、平成に入り環境に配慮したエコライフが提唱されると、風呂敷の良さが再認識されるようになっています。

奈良時代の平包みが風呂敷の起源

風呂敷という言葉が誕生する以前から、大切なものを布で包むという人の行為は始まっていたと推測でき、奈良時代にシルクロードを通って持ち込まれた大陸からの宝物を保護するために包まれていた風呂敷が、正倉院の正倉から発見されています。

現在のように風呂敷という呼び名になったのは、平安時代に大名たちが湯殿に入る際に、脱いだ衣服を風呂場で包んでいたことが由来とされ、一般庶民に風呂敷の使用が広まったのは、江戸時代に銭湯の普及によるものと考えられています。

高度経済成長を迎えた昭和40年代前後から、ポリ袋や紙袋などの普及やライフスタイルの変化から、風呂敷が使われることが激減しますが、昨今の環境に配慮した生活が推奨されるようになって、風呂敷が見直されています。

また、インバウンドで日本を訪れる外国人観光客から、日本特有のデザインの風呂敷がお土産としても注目されています。

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